多くの人が少し道に迷ってしまう場所があります。それが、今日お話しする「同音異義語(どうおんいぎご) 」と「同訓異字(どうくんいじ) 」という、ちょっぴり紛らわしい言葉たちの森。
「音は同じなのに、どの漢字を使えばいいか分からない…」 「テストで、いつもここで点を落としちゃう…」
そんな声をよく耳にします。でもね、大丈夫。この森には、ちゃんと道しるべがあるんだよ。その見つけ方さえ分かれば、もう君は迷わない。むしろ、言葉の奥深さを知る、楽しい探検に変わるはず。
「言葉はね、君の心を映す鏡なんだよ」
正しい漢字を選べるということは、君の心を、考えを、より正確に、より豊かに映し出せるということ。今日は、そのための特別な地図を君にプレゼントするね。
漢字の「同音異義語」「同訓異字」で失点しないためのポイント
まずは「森の地図」を理解しよう
森の中には、二種類の道があるの。まずはその違いを知ることから始めようね。
- 同音異義語(どうおんいぎご)
- これは、音読みが同じで意味が違う言葉たちのこと。「コウカイ」と聞いても、「公開」「後悔」「航海」…みたいに、色々な漢字が思い浮かぶでしょう? あれが同音異義語だよ。熟語で出てくることが多いのが特徴ね。
- これは、音読みが同じで意味が違う言葉たちのこと。「コウカイ」と聞いても、「公開」「後悔」「航海」…みたいに、色々な漢字が思い浮かぶでしょう? あれが同音異義語だよ。熟語で出てくることが多いのが特徴ね。
- 同訓異字(どうくんいじ)
- これは、訓読みが同じで意味が違う言葉たちのこと。「はかる」と聞いても、「測る」「計る」「図る」「量る」…と、たくさんの漢字があるよね。主に動詞や形容詞で、文の中での使われ方がカギになるんだ。
よく出る!「同音異義語」探検ルート
音読みが同じ言葉たちは、漢字一つひとつの意味をイメージするのがコツだよ。
<例1> 「たいしょう」
- 対象: 目標や相手となるもの。「中学生を対象とした雑誌」
- (対=向かいあう、象=かたち → 目標とする形)
- (対=向かいあう、象=かたち → 目標とする形)
- 対照: 二つのものを比べて、違いがはっきりしていること。「光と影の対照が美しい」
- (照=てらす → 二つを照らし合わせる)
- (照=てらす → 二つを照らし合わせる)
- 対称: 図形などが、ある線や点を中心に釣り合っていること。「この図形は線対称だ」
- (称=釣り合う → 形が釣り合っている)
- (称=釣り合う → 形が釣り合っている)
<例2> 「きせい」
- 帰省: 故郷に帰ること。「夏休みに田舎へ帰省する」
- (帰=かえる、省=かえりみる → 故郷をかえりみるために帰る)
- (帰=かえる、省=かえりみる → 故郷をかえりみるために帰る)
- 規制: ルールで取り締まること。「交通規制が敷かれる」
- (規=ルール、制=おさえる → ルールでコントロールする)
- (規=ルール、制=おさえる → ルールでコントロールする)
- 既成: すでに出来上がっていること。「既成の事実として認める」
- (既=すでに、成=なる → すでに出来上がっている)
よく出る!「同訓異字」探検ルート
訓読みが同じ言葉たちは、どんな「場面」で使われているか、文脈をじっくり味わうのがポイントよ。
<例1> 「はかる」
- 測る: 長さ、高さ、広さ、深さなどを調べる。「身長を測る」「土地の面積を測る」
- 計る: 時間、数量、人数などを数える。「時間を計る」「人数を計る」
- 量る: 重さ、容積(かさ)などを調べる。「体重を量る」「荷物の重さを量る」
- 図る: 何かをしようと計画したり、工夫したりする。「問題の解決を図る」
- 謀る: 良くないことを計画する。「暗殺を謀る」
<例2> 「おさめる」
- 収める: 手に入れて自分のものにする、きちんとしまう。「成功を収める」「箱に収める」
- 納める: 決められたところへ渡す、終わりにする。「税金を納める」「見納める」
- 治める: 混乱が収まるようにする、支配する。「国を治める」「痛みを治める」
失点しないための3つの心得
さあ、いよいよ冒険のクライマックス。この3つの心得があれば、君はもう大丈夫!
心得1:文脈(ぶんみゃく)の海を泳ごう!
焦って傍線部だけを見ないで。答えの手がかりは、必ず文全体に隠されています。例えば、「たいじゅうをはかる」という文があったら、「たいじゅう(体重)」という言葉が「重さ」を表しているから、使う漢字は「量る」だとわかるよね。文全体がどんな場面なのか、どんな物語なのかを想像するの。それが一番の近道だよ。
心得2:漢字を分解して、意味を想像しよう
漢字は、一つひとつが小さな絵や物語を持っているの。例えば、「おさめる」で迷った時。
- 治める → 「さんずい(氵)」は水に関係する部首。昔、川の氾濫を治めることが国を治めることに繋がった…なんて物語を想像できる。
- 納める → 「いとへん(糸)」は糸に関係する部首。昔は布や絹糸を税として納めた…と考えると、スッと心に入ってこないかな?
こうやって、漢字のパーツから意味を想像すると、ただの暗記じゃなくて、面白い発見になるよ。
心得3:例文で「言葉のアルバム」を作ろう
自分が間違えたり、迷ったりした言葉に出会ったら、チャンスだよ。その言葉を使って、自分で簡単な文を作ってみるの。 「兄は身長を測り、私は時間を計った。」 みたいにね。そうやって作った「マイ例文」をノートに集めていけば、君だけの最高の参考書、「言葉のアルバム」が完成するよ。
橘先生からのメッセージ
「同音異義語」や「同訓異字」は、君を試すための意地悪な問題じゃないの。日本語がいかに繊細で、豊かな表現力を持っているかを教えてくれる、素敵な贈り物なんだ。
どの「はかる」を選ぶかで、君が何を大切にしているかが伝わる。どの「コウカイ」を選ぶかで、君の今の気持ちが映し出される。言葉を選ぶことは、自分の心を丁寧に表現すること。
入試で点を取るため、はもちろん大事。でもその先にある、君が君自身の心を豊かに表現するための、大切なレッスンだと思って、これからも言葉の森を楽しんで探検してほしいな。
先生はいつでも、君の旅を応援しているからね。