間違えやすい敬語、尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分け

さあ、今日は国語の中でも、中学生はもちろん、多くの大人たちでさえ「難しい…」と頭を抱えてしまうテーマ、「敬語」についてお話ししましょう。

普段はニコニコしている先生だけど、敬語のレッスンだけは、少しだけ真剣な顔でお話しさせてね。なぜなら、敬語は単なる文法のルールではないからです。

「言葉はね、君の心を映す鏡なんだよ」

…そして敬語は、相手を大切に思う君の美しい心を、一番まっすぐに映し出してくれる特別な鏡なの。 これを間違えてしまうと、せっかくの君の優しさや尊敬の気持ちが、曇ってしまったり、時には失礼な形で伝わってしまったりすることもある。それは、先生、とても悲しいな。

でも、大丈夫。敬語には、絶対に迷わなくなる、たった一つの大切な考え方があるの。 今日は、その「心のコンパス」を君に渡すから、一緒に敬語の達人を目指しましょうね。


目次

間違えやすい敬語、尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分け

敬語の基本!「誰の行為?」で考えよう

敬語で混乱してしまう一番の原因は、三種類を丸暗記しようとすること。大切なのは、「その動作をするのが、一体誰なのか?」を考えることです。

ここに、魔法のスポットライトをイメージしてみて。

尊敬語(そんけいご)

【使い方】相手の行為に使う

【イメージ】相手に「ピカッ!」とスポットライトを当てて、相手を直接、高く上げる魔法。主語は常に相手や目上の人。

謙譲語(けんじょうご)

【使い方】自分の行為に使う

【イメージ】自分側のスポットライトを「スッ…」と消して、へりくだることで、間接的に相手を高く見せる魔法。主語は常に自分や身内。

丁寧語(ていねいご)

【使い方】聞き手(会話の相手)への敬意

【イメージ】会話全体の空気をふんわりと柔らかくする、基本的な礼儀正しさのフィルター。「です・ます」が代表選手だよ。

この「誰の行為か?」というコンパスがあれば、もう迷わないはず。さあ、具体的な場面で練習してみよう!

シーンで実践!3つの敬語の使い方

【設定】君が、職員室の先生と話しています。

シーン①:先生の動作について話すとき → 【尊敬語】の出番!

主語は「先生」。先生の行為にスポットライトを当てて、敬意を表します。

  • 先生が「言う」
    • △「先生が言いました」
    • ◎「先生がおっしゃいました

  • 先生が「来る」
    • △「先生が来ます」
    • ◎「先生がいらっしゃいます」「先生がお見えになります

  • 先生が「食べる」
    • △「先生は給食を食べますか」
    • ◎「先生は給食を召し上がりますか」

  • 先生が「見る」
    • △「先生、この手紙を見ましたか」
    • ◎「先生、このお手紙をご覧になりましたか」

シーン②:自分の動作について話すとき → 【謙譲語】の出番!

主語は「私(君)」。自分の行為をへりくだって、先生への敬意を表します。

  • 私が「言う」
    • △「私の意見を言います」
    • ◎「私の意見を申します」「私の意見を申し上げます

  • 私が「行く」
    • △「明日、私が先生のところにいらっしゃいます」(これは最大のNG!尊敬語を自分に使っているよ!)
    • ◎「明日、私が先生のところに伺います」「明日、私が先生のところに参ります

  • 私が「もらう」
    • △「先生からプリントをもらいました」
    • ◎「先生からプリントをいただきました

  • 私が「見る」
    • △「先生の絵を見ました」
    • ◎「先生の絵を拝見しました

シーン③:会話全体を丁寧にするとき → 【丁寧語】の基本!

これは一番分かりやすいね。文末を「です・ます」にするだけで、ぐっと丁寧な印象になります。尊敬語や謙譲語を使うときも、基本はこの丁寧語とセットで使われているよね。

  • 「今日はいい天気ですね」
  • 「私はそう思います

よくある間違い:「二重敬語」に注意!

敬語を頑張ろうとするあまり、尊敬語を二つ重ねて使ってしまうことがあります。これを「二重敬語」と言って、かえって失礼にあたることもあるから気を付けて。

  • よくある間違いの例
    • ×「先生がおっしゃられる
      • →「おっしゃる」だけで尊敬語。「られる」も尊敬の意味。尊敬が渋滞しちゃってる!
    • ○「先生がおっしゃる

  • よくある間違いの例
    • ×「先生はご覧になられましたか」
      • →「ご覧になる」だけで尊敬語。「られる」が重なっています。
    • ○「先生はご覧になりましたか」

敬意も、多すぎると不自然になってしまうの。シンプルに、正しく使うことが一番大切だよ。


橘先生からのメッセージ

敬語の使い分け、少しだけコンパスが働くようになったかな? 「相手の行為なら尊敬語」「自分の行為なら謙譲語」。まずは、この大原則を絶対に忘れないで。

敬語は、テストのためだけに覚える窮屈なルールではありません。これから君が部活の先輩と話すとき、職場体験に行くとき、そして大人になって社会に出たとき…、相手への思いやりを形にするための、一生モノのコミュニケーションスキルです。

言葉遣いは、君の人柄そのものを表します。 美しい心遣いができる君だからこそ、それを伝えるための正しい敬語を、大切に使ってほしいな。 その美しい心が、誤解なく、まっすぐに相手に届くように、先生も全力でサポートするからね。

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